2011年1月30日日曜日

井の頭通りの猫



その姿を見かけて足を止めると、
彼はこちらの注目に気付きながら、いくらか歩を進めてようやく振り返った。

気取った奴だ。
カメラを取り出すと、プイっとまた少し進んで振り返る。
自らベストポジションを指定するかのように。

撮影、ポジション移動、また撮影。
そんなことを3回も繰り返し、ラストはちょっと長めにキメてくれていた。

冷めた片目に何を訴えるでもなく、堂々と。



このすぐ先の道に、轢かれて死んだ猫が横たわっていた。

いつもそうした光景に出くわすたび、
「人間が住み辛いとこ作ったばかりにすまんな…」
と思っていた。

しかし、彼らは人のせいで死んだのだろうか。

人の作った環境に生まれた彼らには、
この世界が当たり前で、
人を恐れながら、人になびきながら、
彼らは彼らで当たり前の日常を生きている。


自分たちが世界の主役であるかのように猫に接するのはやめよう。
彼らにとっては、自分たちこそが主役なのだ。


2011年1月11日火曜日

冬の東京、郊外。

「ヒマだからご飯食べにきた」

そんなノリスケ感覚での帰省を果たした。


夕方5時、東京郊外。
高い屋根の無いグラデーションに高圧電線に安堵感。



この風景に育ったのだと実感する。

2011年1月5日水曜日

BIG

結婚し、初めて実家を離れて思うこと。

「俺、デッカイ家に住める男になりてぇ...」

隙間風吹き荒ぶ借家に住む今、
その想いは切実である。


寝転がってもぶつけない部屋。

温かい暖房のある部屋。

ルンバを買って走らせられる部屋。

ヘンテコな物をたくさん置いても怒られない部屋。


なりたいのだ。
BIGなお部屋に住める男に。

2011年1月2日日曜日

一般参賀に行ってみた。

彼女はいつも唐突だ。


「1月2日、一般参賀に行きたい」


そうだ京都いこう、みたいなノリで
およそイマドキの30歳女子にありえない提案がなされた去る昨年末。

そして新年2日、我々は丸の内線銀座駅を降り、朝日の余韻を残す皇居内堀を足早に歩いた。

叙勲にもお茶会のご招待にも程遠い我々一般ピープルが、天皇陛下を生で拝むチャンスは数少ない。
陛下が故郷・東村山の「だいじょうぶだぁ饅頭」をご視察に訪れたことはないし、いま住む荻窪界隈の環八をセンチュリーで爆走することもないだろう。

世間がほぼお休みで、抽選も予約も無くお目に掛かれるチャンスが一般参賀なのだ。


なので、当然のことながら…



激混みである。

一般参賀は初回9時半から昼過ぎまで計5回のACT。
しかし、より多くの宮家がそろうのが最初の数回であり、
ご年配比率が高いのも手伝って、一番混むのが初回のほうなのだ。

朝9時の時点で肉眼ギリギリの橋の先までビッチリ芋洗い。



さりげなく、公安マニアにたまらないサービスもあり。

馬の口から漏れた泡がその辺に無数に散らばっている。大丈夫か。








さて、行列。 こりゃ見れるのは昼頃かな、と思いきや、
進みが意外に速い。

4列で並んで進んでいたところ
「この先、3方向から合流しますので、きっかり10列になってくださーい」
と警察の指示。
いや、訓練でもされてないと10列なんて無理だって。

カオス状態の中、出来た隙間を縫って前へ前へ。

今度はいきなり道が細くなるのに、何の指示もなく10列→また4列へ。
ドサクサ紛れでまた前へ。
そんなこんなで、1時間程度の待ちで会場に入れてしまった。



そこから30分ほどの間、ひたすら待機。
さぞかし熱意に溢れた衆に揉まれモッシュ状態になるんじゃないかと思いきや、
意外なほど穏やか。

皇室LOVEの熱気を、厳粛な雰囲気と正月晴れの穏やかさが中和した、
経験したことの無い雰囲気。
水面下に膨大なエネルギーを抱えながらも、危うげな雰囲気は微塵も無い。

モーニング娘。のライブ寸前(@厚生年金会館)のような
「漏れも頑張るから藻前らも頑張れ!」みたいなファンの盛り上げ合いも無い。


やがて、皇室ご一同が並ぶであろうガラスの向こうに動きが出始めるにつれ、水面下のエネルギーはジワジワと表面に浮き立ち始める。

そして、ツイタテの隙間から、あの方の背広がスッと見えた瞬間、

「陛下ーーーーーァァァァアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


愛とLOVEと尊敬で喉から血を噴くほどの一声とともに
ワッと旗が揚がる。
まさに瞬発的なボルテージMAX!









かく言う私も、
気が付けば内心「ギャーーーー!!!!」と叫びながら写真を撮れば良いやら泣けばよいやら静聴すればよいやらわからない混乱状態でひたすら旗を振りながらレンズの設定とかして、 気が付けば泣きながら撮影してました。


「これからー 天皇陛下よりー 皆様にー ご挨拶がー あります」

と、超ド級の平安ボイスのアナウンスで皆、我に返り、
テレビでご覧になったろうお言葉がありました。



静聴。












そして、また陛下が手を振ると、旗がバタバタバターと揚がり、
世界の中心である陛下に愛を叫ぶ声がこだまし、
どう考えても焦点が届かない携帯カメラや
頭に当たったら血が吹き出そうなゴツい一眼レフが旗の合間合間に揺れ、
スッと陛下はお戻りに。


場はまた平穏へ。

待ち時間1時間半、わずか5分の感動。
それでも、異様なまでの満足感が充実感。


かつて、宮廷のお茶会に呼ばれた北野武が語っていたことを思い出した。
いまさら何にも動じなさそうな北野武が陛下のお声掛けを待つとなるや、
背筋も伸び切ってしどろもどろに。

「この人のために死んでもいいという気持ちになってしまう」

と語った、その気持ちの何分の一かでも実感したような気がした。



それにしても、海外の参加者が多い。
会場の駐車場にははとバスや海外ツアーの観光バスが並び、行列の中も視界の中に必ず外国人がいる。


ロックバンドばりのカッチョイイご一行。












銀幕セレブばりのカッチョイイ夫婦(奥)。












ほか、アラブ系、南米系、東アジア系も多数。

彼らにとって、一般参賀の様子はどう映っているのか、
次の機会には訊いてみたいものだ。